前会長挨拶

前会長挨拶

nagashima

 2022年4月1日から2年間、ケイ素化学協会の会長を務めさせていただくことになりました。ケイ素は、周期表中の炭素、 および、周辺の元素とは違う特異的な性質を持ちます。このため、新しいケイ素化合物の化学や他の元素とのインターエレメントの科学、 新しいケイ素材料の開発研究を産み出し、元素科学の発展に貢献しています。一方、ケイ素化合物は工業的に重要であり、シリコーンやシ ランカップリング剤を中心に、世界的に巨大なシリコーン産業を生み出しています。ケイ素は地殻中に多量に、かつ、普遍的に存在し、 かつ、元素としても化合物としても低環境負荷であることから元素戦略上重要であり、その化学の推進はSDGsに貢献すると期待されています。

 本会は1996年の設立以来、日本におけるケイ素化学の研究者コミュニティの拠点として、産学官、ならびに、国境を超えた多くの研究者の交流に大きな役割を果たしてきました。 「ケイ素の化学は裾野が広い」と言われます。事実、会員には、ケイ素を中心としながらも、 広く元素の科学の視点を持つアカデミアの研究者、あるいは、シリコーン産業に限らず、幅広い産業分野から参加されている企業研究者がおられます。 従来の活動は、シンポジウム等を通じてケイ素の基礎化学での交流が中心であった感がありますが、最近では、シンポジウムにおいて産学交流コーナーを設置する、 ON LINE講演会で異分野交流を志向する、等、「裾野の広さ」を本会の活動にもっと活かしていく動きがさかんになってきました。

 コロナ禍の中でしたが、大下前会長は、ISOS2024の広島開催決定、ON LINEを活用してシンポジウム、講演会を活性化させる等、 大きな足跡を残されました。これからの2年間は、ISOS2024へ向けてのメルクマールとして、伝統の地酒パーティを含めたシンポジウム等での交流に加え、 ON LINEの良さを十二分に活かして、会員相互の意見交換を活発にし、それを通じて、協会への求心力を高める大事な時期と認識しています。皆様のご協力をお願いします。


ケイ素化学協会 会長
九州大学 永島 英夫


歴代の会長・副会長はこちらをご覧ください。